今年のアカデミー賞レッドカーペットは、レッドという伝統的な色だけでなく、2つのカラーがひときわ目を引きました。それは、まるで春風のような爽やかさを纏う「シフォーングリーン」と、可憐で気品溢れる「ベビーブルー」です。もちろん、定番のブラックや煌びやかなメタリックも健在でしたが、今回注目すべきなのは、重厚さとは対極にある、瑞々しい水のイメージを彷彿させるカラーリングでした。

今回、特に話題を集めたセレブたちのドレスを見てみましょう。

まるで人魚姫のような美しさ、ルピタ・ニョンゴ

プレゼンターを務めたルピタ・ニョンゴは、ジョルジオ アルマーニ プリヴェによるカスタムドレスを纏いました。パウダリーブルーのシルク地に施された繊細な刺繍、クリスタルビーズの装飾、そして深いVネックラインが特徴的です。また、ペプラムウエストとフレアースカートの裾には淡いブルーのフェザーがあしらわれ、Vネックラインとのバランスを取りながらも、華やかさを演出しています。

ルイ・ヴィトンの構築美を纏い、栄冠を手にしたemma stone

主演女優賞に輝いたemma stoneは、ルイ・ヴィトンのミントグリーンのシーシェルジャカードドレスを着用しました。チューリップ型に構築されたバズティアが斬新なデザインとなっており、彼女の気品と強さを表現しています。さらに、同ブランドのハイジュエリーで洗練されたスタイリングを完成させていました。

エリー サーブの魔法にかかった、Hailee Steinfeld

フランスのオートクチュールブランド、エリー サーブが仕立てたのは、流れるようなフワフワのイブニングドレスです。Hailee Steinfeldはこのトレンドカラーをまとって、まるでレッドカーペットの上を浮遊しているかのように見えました。

喜びに満ちたダヴィード・ジョイ・ランドルフ

助演女優賞を受賞したダヴィード・ジョイ・ランドルフは、喜びに満ちた表情で淡いブルーのドレスを披露しました。ルイ・ヴィトンが彼女のために特別にデザインしたという、手刺繍が施されたチュール素材のドレスは、オーバーサイズのフリンジ付きスリーブと淡いブルーのサテンサンダルが特徴的です。

SF映画を彷彿させるフローレンス・ピューの装い

フローレンス・ピューは、今話題のイタリアブランド、デルコアによるSF映画を彷彿させるようなドレスを纏いました。エイリアンを思わせるようなビーズで飾られたボディスは、鋭利なストラップとペプラム部分のポイントが特徴的です。スカート部分のシルクは、流行のシフォーングリーンのニュアンスを引き継いでいます。

今回のアカデミー賞では、例年とは異なり、柔らかな水色系の色調がトレンドとなりました。レッドカーペットという晴れ舞台において、重厚さではなく、軽やかさを求めるセレブたちの意向が見て取れます。また、淡いグリーンやブルーは、これからの春の訪れをも予感させるカラーリングであり、見ている人を明るい気持ちにさせる効果もあるでしょう。