高木琢也「オーシャントーキョー」代表が抱く“渋谷解放計画”とは?

若い男性を中心に圧倒的な支持を得ている美容師・高木琢也「オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)」代表が、10月1日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した。同番組は“ハラジュクSP”と題し、流行を生み出し続ける街・原宿で、若者から“神”と呼ばれるカリスマとして、その仕事やプライベートに密着した内容だ。番組出演に対して業界内外から大きな反響があったが、その反響以上に「番組への出演自体が1つのターニングポイントになった」という。その理由とともに、今や“若者のオピニオンリーダー”にもなっている高木代表が描く、今後のビジョンに迫った。

「ターニングポイントになった」という理由は?

主に2つあります。「プロフェッショナル」では、本当に自分の“素”を出しました。撮影の仕方が特徴的で、“ありのままの姿”以外は全部カットされ、絶対に撮り直しをしてくれない。例えば朝の通勤時や営業中、プライベートに至るまで、撮影用に「もう一度やりましょうか?」と撮り直しを提案しても「そういうことはしないんで」という返事が返ってくる。そこまで誠実に撮ったため、今まで見せてこなかった自分の弱い部分なども放送されてしまった。しかし、これをある意味の“解禁”と捉えて、今後はもっと人間ぽくやってもいいし、素直に発言していってもいいと考え始めたんです。

自らのミッションの1つが明確になったからです。「プロフェッショナル」の撮影では、これまでの雑誌取材などでは聞かれなかったようなことまで、ディレクターさんから根掘り葉掘り質問されました。「なぜそうやって切るんですか?」「なぜそう考えるんですか?」「髪の毛切ったらハッピーになれるんですか?」「高木さんに切ってもらったら何か変わるんですか?」みたいな(笑)。極めつきは「なぜかっこよくしたいんですか?」という質問で、僕は当たり前のように「かっこいいほうがいいじゃん」って思っているけど、ディレクターさんは「私、髪とかどうでもいいんです。テレビのディレクターってそういう人が多いですよ。かっこよくすることに1万円以上払う価値ってありますか?」と言う。かっこよくなりたい気持ちに「なぜ?」と聞かれるとは思ってなかったので、そこを掘り下げてもらったおかげで、まず「“お客さま”にかっこいいを教えなければいけない」と、やるべきことが明確になりましたね。

そのためにやりたいと考えていることは?

具体的に考えているのは、まずは渋谷区を変えることです。学生や社会人の髪型に関して、以前と比べて自由になったと一般的に思われていますが、美容師をしていると、まだまだ校則や社則で制限されているケースが多いことを実感させられます。そこでサロンを5店舗展開している渋谷区に働きかけることで、渋谷区在住者や渋谷区にある学校の生徒など、渋谷区に関わる人は全員髪を自由にできる、といった条例ができたら面白いと思ったんです。区役所の役員に茶髪とかいたら楽しくないですか。僕は「渋谷=おしゃれ」であるべきだと考えているんですが、その渋谷は変わってきています。以前は洋服を買いに来た人で溢れ、スケボーをやっている人がいるなどストリートカルチャーの中心地でしたが、今はインバウンドの外国人が多い観光地。服はネットで買えるため、若い子たちが来る目的がヘアサロンくらいしかない。若者のアイコンになる人も少なくなった。ファッションスナップを撮っている姿も減少しているし、モデルも減ってきた。区長は「若者が変えてくれる」と話しているが、それだけじゃもったいない。これからは若者だけじゃなく大人も変わるべきで、そこからスタンダードを作ることで、再びおしゃれな街に変えていけたらと考えています。

今後の展開の1つとして、全国展開も視野に入れていますが、店舗数を増やすことが目的ではありません。交通費をかけて、遠方からわざわざ東京に来てくれるお客さまも多いので、まずその負担をどうにかしたい。また「オーシャントーキョー」の技術を地元に持ち帰り、「地元にかっこいいを伝えたい」という希望を持っているスタッフも多いため、それは応援してあげたいですね。

店舗以外に関しては?

店舗拡大と同時に、事業のさらなる多角化も計画していて、その1つがタレントマネジメントです。今のかっこいい子たちの憧れは「オーシャントーキョー」でモデルをやることだと自負しています。現在は「オーシャンズスター」という専属モデルたち(その約半数が顧客)がいて、そこからCMやドラマに出演したり、俳優になったりしていています。マネジメントをして、その子に合った環境作りをすればもっと良くなると考えており、「オーシャンズスター」たちを信頼できる事務所に紹介するような、仲介役ができるビジネスモデルを構築していきたいですね。その他にも、ヘアワックス「オーシャントリコ」は現在123万個を売り上げていてビジネスも好調で、事業の多角化は進行中です。「渋谷」を拠点として、若者から大人まで巻き込んで新たなカルチャーを発信していきたいです。

ラグジュアリーホテルとカシミヤブランドのコラボから見るホスピタリティビジネスの今

世界最大ホテルチェーンのマリオット・インターナショナル(MARRIOTT INTERNATIONAL)のホテルブランドの1つ「ラグジュアリーコレクション」では、アンバサダーである“グローバル・エクスプローラー”とのコラボレーションを通してブランドの世界観を発信している。ファッションショーのフロントローでおなじみのソフィア・サンチェス・デ・べタク(Sofia Sanchez De Betak)やファッションデザイナーのマルゲリータ・ミッソーニ(Margherita Missoni)、ジュエリーデザイナーで俳優のワリス・アルワリヤ(Waris Ahluwalia)など、感度の高い宿泊者にアピールするアンバサダーばかりだ。そのアンバサダーの一人にニューヨーク発カシミヤブランド「リンガ・フランカ(LINGUA FRANCA)」の創設者であるラシェル・ハラスカ・マクファーソン(Rachelle Hruska MacPherson)が加わり、限定トラベルセットを制作。その発表のために来日したマクファーソンとカーリー・ヴァン・シクル=マリオット・インターナショナル グローバルブランドマーケティング部門ディレクターに話を聞いた。

「ラグジュアリーコレクション(THE LUXURY COLLECTION)」には、世界最高峰のホテルやリゾートが100軒以上加盟している。ベニスの「グリッティパレス,ヴェニス(THE GRITTI PALACE VENICE)」やドバイの「アルマハ,デザートリゾート&スパ,ドバイ(AL MAHA DESERT RESORT & SPA, DUBAI)」などユニークなラグジュアリーホテルばかりだ。日本には東京の「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 (THE PRINCE GALLERY TOKYO KIOICHO以下、プリンスギャラリー)」や京都の「翠嵐 京都(SUIRAN HOTEL KYOTO以下、翠嵐)」、宮古島の「イラフSUI 沖縄宮古(IRAPH SUI OKINAWA MIYAKO以下、イラフSUI)」の3軒がある。

今回のコラボレーションの経緯は?

カーリー・ヴァン・シクル(以下、シクル):「ラグジュアリーコレクション」は世界各地の文化や人々と深く結びついたホテル。そして、「リンガ・フランカ」はニューヨークを拠点に現地の女性職人が刺しゅうしたフェアトレードのカシミヤを作っているという点で共通の価値観があると感じた。ラシェルと数日間過ごしてみて、アンバサダーとして完璧だと思ったの。そこで、旅で重宝するトラベルバッグを作ることにしたの。

ラシェル・ハラスカ・マクファーソン(以下、ハラスカ・マクファーソン):「リンガ・フランカ」にはデザインを通して人々をつなげたいという思いがある。日本からの引き合いも多く、4月末には都内の百貨店でポップアップも予定している。日本はエキゾチックだし、とてもファッショナブルでトレンドの発信地でもあるから、発表する場としては最高ね。

「リンガ・フランカ」はニューヨーク在住の女性が全て手作業で刺しゅうをしているというが何人の職人がいるのか?

ハラスカ・マクファーソン:80人いるわ。なかなか職が見つからない社会的に不利な立場の女性をサポートするのが目的よ。刺しゅうの仕方を覚え、働くことで正当な賃金が得られる。「リンガ・フランカ」は200以上のチャリティーに参加していて収益の一部を寄付しているの。少しでも社会に貢献するべきだと思うから。トラベルバッグの収益金は全てチャリティーに寄付する。

アンバサダーを選ぶ基準は?今まで誰とコラボレーションしたか?

「ラグジュアリーコレクション」のホテルに滞在するような、旅に対して情熱を持っている人物。いわゆる、ニッチなラグジュアリートラベラーね。ソフィアとはキモノ(ローブ)、マルゲリータとは子ども用のバッグを製作したわ。アンバサダーは個人だけど、実はつながっていたり、どこかで偶然知り合ったりしているから、まるで小さなコミュニティーのようなものね。

左から、発表会でトラベルセットを紹介するシクル・ディレクター、ハラスカ・マクファーソン創設者、アルジュン・ヴェルマ=マリオット・インターナショナル アジア太平洋ラグジュアリーブランドコミュニケーションズ シニアマネージャー

クラシック、デザイン、ソーシャルなどさまざまなタイプのホテルが存在するが、現在のラグジュアリートラベルの傾向は?

いわゆる“ステータス”の意味が以前と変わってきている。自己満足のある体験ができる旅こそがラグジュアリーと感じる人々が増えている。ラグジュアリーホテルの中では常にクラシックやデザインホテルに対する需要はある。しかし、今は旅先でのローカルな体験を望む傾向が増えている。例えば、ワークショップやシェフによる料理教室への参加、プライベートショッピングももちろんそうだ。ラグジュアリートラベラーの好みはまちまちだが、誰もが語れる旅のストーリーを持っている。「ラグジュアリーコレクション」は、それぞれのホテルが個性的で、さまざまなタイプの宿泊客に合う現地の文化と結びついた体験を提供している。

例えば、今回の日本滞在はどのような旅程か?

ラシェルの家族と一緒に京都の「翠嵐」に滞在して、茶道を体験したり、竹林に散歩にいったり素晴らしい時を過ごした。東京では「プリンスギャラリー」に宿泊し、表参道にショッピングに行ったし、ゴールデン街にも行ったわ。桜が見られたのでラッキーね。これから沖縄宮古島の「イラフSUI」に行くので楽しみよ。

ネッタポルテがラグジュアリー・ブランドのスキーウエアを “ネッタスポーター”で販売

ラグジュアリー・ブランドとビューティの大手ECサイト、ネッタポルテ(NET-A-PORTER)は10月29日、ウィンタースポーツ・コレクションをラグジュアリー・ブランドのアクティブウエアをそろえたカテゴリー「ネッタスポーター(NET-A-SPORTER)」で販売する。

第一弾はスキーウエアにフィーチャー。「フェンディ(FENDI)」「エミリオ プッチ(EMILIO PUCCI)「アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)」「パーフェクト モーメント(PERFECT MOMENT)」などのブランドのファッショナブルで機能性があるスキーウエアやアクセサリーをラインアップする。

また、「ハンター(HUNTER)」や「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」など新たにスポーツウエアをスタートしたブランドの商品も販売。2015年1月には、「ハウス オブ ホランド(HOUSE OF HOLLAND)」と「ロキシー(ROXY)」がコラボレーションしたカプセルコレクションを発売予定だ。

キャンディス・フラギス=ネッタポルテ シニア バイヤーは「ネッタスポーターは172ヵ国に対応していることから、スタイリッシュでありながら、どんな気候にも合うよう、シーズンごとにさまざまなスポーツウエアを販売している。サーフギアをはじめ、乗馬やランニング用のキルティングジャケットなども用意。今回フィーチャーしているスキーウエアは、毎日ラグジュアリー・ファッションを着用するお客様がゲレンデをシックに滑ることができるウエアをセレクトした」とコメント。

ネッタポルテは、400を超えるラグジュアリー・ブランドのアイテムやビューティアイテムを用意。日本未販売や限定コレクションもそろえ、購入したアイテムは3日で日本に配送。また、28日以内は交換無料で返品も可能だ。

「ディオール」メンズプレフォールは、空山基のアートとともに未来に旅立つエレガンス

ディオール(DIOR)」は11月30日、キム・ジョーンズ(Kim Jones)=メンズ アーティスティック・ディレクターによる2019年プレ・フォール・コレクションを、メゾン史上で初めてランウエイショー形式で発表した。ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=クリスチャン ディオール クチュール会長兼最高経営責任者(CEO)は、「少なくとも数カ月は(笑)、人々の記憶に残るメモリアルなショーになる。これからは、メンズでもプレ・コレクションのランウエイショーを開くつもり」とコメント。ベッカーリ会長兼CEOの自信通り、来場者の記憶に鮮明に焼きつく、スペクタクルなショーだった。

会場は、6月にパリで発表した19年春夏メンズと同じ作り。あの時カウズ(KAWS)による花で作ったムッシュー・ディオールのアバターが設置された中央には、日本人アーティストの空山基による巨大なメタリックオブジェが設けられた。オブジェはショーのスタート前からまばゆい光を放ち、未来的なムードを醸し出す。そんな中現れたのは、半年前にキムが披露したクチュール級クラフツマンシップのエレガント・ストリートな少年の進化版であり大人版。成長して未来感とエッジーさを手に入れた、勢い溢れる青年たちだ。

ウエアは、防護服に用いられるメタリック素材「タイベック」を用いたシャツジャケットやダウンを筆頭に、霧状のメタルを吹き付けたファーで作ったTシャツなど、総じて光度が高い。特に帽子は、まるで金属製かと思うくらい、一点の曇りもないピカピカ。空山が70年代から作り続けるアートのように、遥か彼方の未来のムードだ。

そして、そんなビビッドな世界観を希釈することなく、誰でも着られるコマーシャルピースに落とし込めるのが、キム・ジョーンズの才能だ。ピカピカのブルゾンには手が出ないアナタには、シルクのシャツを。それさえハードルが高いアナタには、ライトグレーのジャケットを。コレクション内のシンボリックなピースとはかけ離れた洋服に聞こえるかもしれないが、シルクのシャツは七色に光る玉虫色、ジャケットは宇宙戦艦の指揮官が着ていそうな強めのショルダーラインのタイトフィットで、ピカピカのシンボリックピースと同じ世界観にある。

そこに盛り込んだのは、日本的だったり、「ディオール」らしいモチーフやディテールだ。シルクのシャツには空山のアートと桜吹雪が踊り、レザーアウターは着物のような前合わせ。ジャケットは「Dior」の文字“オブリーク”で彩られ、レザーのハーネスには金網状のアイコニックなモチーフ“カナージュ”の模様を描くカットアウトを施した。

フィナーレは、空山のアートを無数のレーザー光線が囲む大絶景。キムによる「ディオール」メンズは、空山の作品の力を借りて、未来に向けて力強く飛び立った。

“釣りベスト”のおしゃれ化が止まらない! 春夏の着こなし術

“釣り用ベスト(フィッシングベスト)”がおしゃれ上級者の間で愛用者を増やしています。アウトドア気分を手軽にまとえるのが人気の理由です。ポケットの多さも、ハンズフリーを好むアクティブ派に支持されています。ヒットのきっかけの一つは、夏の音楽フェスティバル。両手をフリーにしやすく、移動やダンスも楽なので、フェスから街へと出番が広がったようです。ウエストポーチやサコッシュのブームに続くアイテムとして、脚光を浴びています。

最初はメンズの裏技的な着こなしでしたが、徐々にウィメンズにも波及しました。若い女性が古着の釣りベストを取り入れて、ミックスコーディネートを楽しんでいるようです。袖がない分サイズを合わせやすいので、古着でも探しやすい。性別にとらわれない「ジェンダーレス」の雰囲気も出せます。もともとは釣り用ですが、登山やハイキングの雰囲気も併せ持つため、マウンテンパーカを取り入れるような感覚でコーディネートを楽しむ人も多いようです。

アウトドアブランド「コロンビア(COLUMBIA)」の2019年春夏シーズンは、釣りベストを豊富にそろえています。アウトドアブランドとしてもちろんこれまでも企画していましたが、19年春夏物のウィメンズでは着丈が短めなキュートなシルエットなど、バリエーションが広がっています。ユニセックスでは背中にビッグポケットを配した新タイプもお目見え。これは音楽フェスで多くの人が持ち運ぶ折り畳み式チェアが収納できるんだそう。畳んだチェアがスッポリそのまま収まるから、両手を解放できます。背中のアクセントになる点でもアイキャッチーです。

もともと女性の服はポケットがないタイプが多く、財布やスマートフォン、化粧ポーチなどの持ち歩きには、バッグが必要でした。でも、ポケットがいっぱい付いたベストは、荷物がたくさん入るので、“着るバッグ”といった感じで便利に使えます。とりわけ、小旅行や野外イベントなどではとても頼もしく感じるはず。

ちなみに「コロンビア」は、1年前の18年春夏にもセレクトショップ「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」とのコラボレーションでおしゃれ釣りベストを企画していました!

釣り用ベストをおしゃれアイテムとして再評価する流れは、モードの世界にまで飛び火しており、大人女性も取り入れやすい提案が相次いでいます。上手に着こなすスタイリングのポイントを有力ブランドのランウエイからつかんでいきましょう。

釣りベストを取り入れた大人コーデの代表格は「サカイ(SACAI)」です。1枚目の写真は、ポケットがいっぱいついたホワイトベストでボリューム感を出して、小顔と着やせのダブル効果を引き出しました。肩口にあしらったレースがフェミニンなムードを演出します。

釣りベストはミリタリーにも通じるタフ感を宿しているだけに、着こなす際には女っぽさやロマンティック感を盛り込んで、2枚目の写真のようにテイストミックスに仕上げるのが上手なスタイリング方程式です。透ける生地やプリーツ加工、スリットディテールなどのボトムスともなじみます。

ニューヨーク発の「アナ スイ(ANNA SUI)」でも、釣りベストが多用されていました。サイクリングパンツやバミューダショーツは19年春夏のトレンドアイテム。1枚目の写真のように、ショーツに釣りベストを組み合わせれば視線が引き上がるので、生足から目をそらせさせる視覚効果もあります。じゃらじゃらと重ねたネックレスとシャツワンピース風アイテムで、縦落ちレイヤードにアレンジしています。

2枚目の写真のように、ロマンティックな印象の総レース・ワンピースにも、フィッシングベストを合わせていました。ワンピースの甘さが程よく抑えられて、大人女性にも取り入れやすいスタイリングに整います。

ワイルドな表情を帯びた釣りベストはさらに進化して、様々なフォルムやディテールが提案されています。もはやフィッシングの枠を越えて、ドレッシーでレディーライクなアイテムへと変貌を遂げつつあります。

たとえば、釣り具の専門メーカーが立ち上げたファッションブランド「ディーベック(D-VEC)」は、おしゃれ着としてまといやすい、フェミニンなジレタイプを19年春夏で企画しました。ポケットや金具、メッシュ素材などに、フィッシングベストの面影は残しながらも、着丈は長めで、裾にペプラムが施されています。

一方、パリコレの若手注目株「マリーン セル(MARINE SERRE)」のランウエイでは、ミリタリーウエアをアップサイクルした、ポケットだらけのドレスが披露されました。ポケットのサイズや向きがまちまちで、着姿にファニーな起伏をもたらしています。これもどことなく釣りベストを思わせる進化アイテムです。

機能とモードの間柄がますます親密になってきました。快適さや着回しやすさを求める感覚にも、進化形の釣りベストは溶け合います。アクティブでジェンダーレスなテイストはこの先もトレンドの軸になる見込みなので、この流れをウォッチしておくといいですよ。

多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。